坊守が教えるお葬式のこと

住職の妻である坊守がお葬式の知っておきたいことを紹介するブログです。

坊守が教えるお葬式後の法要・法事の流れと意味、違い

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お葬式が終わり、遺骨を迎えることから始まります。
これから四十九日までの七日間ごとに法要をしていきますが、最近は家の都合や考え方も色々あり省略をするところや、繰り上げ法要とするところもあります。
例えば自営業で商売をされていたり、核家族で頼れる方がいなかったりすると7日ごとは大変かもしれません。
無理をすることなく、お世話になるお寺と相談して決めるのがいいでしょう。

法要を営むとは

法要を営む理由は、故人との結びつきを忘れないためです。
生前は大切な人に触れることができ五感で存在を感じることができていました。
けれど亡くなった今、二度と触れることはできません。
私たちは法要を営むことで故人との新しい向き合い方を模索するのでしょう。
宗派によっては通善供養(ついぜんくよう)の為ともいわれています。
故人の冥福を祈るとともに、あの世で良い報いを受けられるよう供養をすると極楽浄土へ行けるとういう仏の教えです。
浄土真宗については、亡くなったらすぐに極楽浄土へ行くと言われており法要とは仏の教えを聞いていく時間と解釈されていたりします。

法要と法事の違い

法要とは住職に読経していただくことを指し、法事とは法要と共に食事の席を設けることを指します。
法事を決める場合は親族が集まりやすい日と住職の都合をすりあわせて決めます。
祝日や土・日曜日といった日は法事も重なりやすいので決めたらすぐ予約をし、案内を送ります。
当日は故人の冥福をゆっくり祈る大切な機会にすると良いでしょう。

法要と法事の種類

お葬式での最後の法要であり、これから故人の冥福を祈る最初の法要と言える「還骨回向」「初七日」からはじまり「四十九日」法要まで。
それから順番に行う法要を知っておきましょう。

還骨回向(かんこつえこう)

遺骨を迎える法要です。
後飾り祭壇に遺影・位牌・線香・ろうそく・供花・供物をしておきます。
遺骨を迎え安置できたら、住職の読経が始まるので喪主から順に焼香をしていきます。
座敷での法要の場合、回し香炉で行われることもありますが焼香作法はかわりませんので順番に送っていき最後の方は焼香の後、香の蓋をして住職のそばへ運びます。
これは「最後まで回りました」と伝えるためです。
また金香炉で蓋がある場合も同様に蓋をしておきましょう。

初七日(しょなのか)

亡くなってから7日目に行う法要です。
今ではこの法要と還骨回向とを一緒に済ませることが多くなってきました。
葬儀会社にお願いすると初七日までの段取りをしてくれます。
もちろん住職と相談して七日後に初七日を行うこともできますので、法要表をいただいたときに相談をしましょう。
お葬式から続きで初七日までを行いますと10日ぐらいあとに二七日があります。
すこし日にちが空きますが、この期間はお葬式後の処理と手続きをする時間をいただいとのだと考えましょう。
悲しみはなかなか癒えませんが、現実はまってくれません。
お落ち着いて考えることで、もっと細かい疑問がでてくると思います。

二七日(ふたなのか)・三七日(みなのか)・四七日(よなのか)

二七日・三七日・四七日をここでまとめましが、この時は家族と僧侶だけでシンプルに行うことが多いからです。
お参りの服装は平服でかまいませんが、住職が来る前に中陰壇(後飾り祭壇のこと)の確認をして蝋燭や線香の不足がないようにしておきます。
また白木の位牌を四十九日までに黒塗りの位牌に変える準備をします。
時間がかかるものですので早めに仏壇店などにお願いをしましょう。
宗派によっては位牌ではなく、法名軸に書く宗派もあります。
法名軸をお寺にお願いする場合はお布施とともにお願いしましょう。

初月忌(はつがっき)

これは亡くなって初めての月命日という意味です。
法要の重さを考えると初七日や四十九日ほどではなく、七日ごとの法要と同じくらいです。
ただ、心情を考えると一か月が過ぎたんだなぁと考える方は少なくないはず。
四七日つまり亡くなって28日目の法要をしたばかりで、四五日が35日目です。
初月忌も大切な区切りの儀式ですが、一週間程度のうちに3回法要することになりますから住職に相談をされることをおすすめします。

五七日(いつなのか・ごしちにち)

宗派や地域によってはここで忌明けとされるところもあります。
この日を小練忌(しょうれんき)ともいいますが、気持ちの整理少しずつ練習していますか?という問いかけでもあるそうです。
長いようで短い一か月が過ぎ、残された家族は色々な事を思い出したはずです。
五七日とは、故人のいない生活や向き合い方などを少しずつ前向きに考えていこうという時期なのです。

六七日(ろくしちにち)

以前に「六七日はありますか?」と聞かれたことがあります。
要は6と7をかけあわせると42になり語呂が四二(しに)となるからだそうで、根拠のない迷信に囚われてしまったようです。
六七日は「大弘忌:だいこうき」といい忌明けを前にして、悲しみ・苦しみを力にして新しい一歩を踏み出す時期。
六七日の法要もシンプルでいいのでお参りをしましょう。

四十九日(しじゅうくにち)の法事について

忌明け(きあけ)または満中陰(まんちゅういん)という方もいます。
故人の死後、49日にわたって親族一同は慎み喪に服してきましたが、この法要をもって一区切りをします。
初七日と同じくらいの重さがありますので、親族・知人・友人などに集まってもらい法事を行ないます。
喪主は礼服(喪服)を着て法事に出席してくださった方を迎えます。
四十九日の法要にあとには大抵どの宗派でも、住職から法話があります。
読経が終わったからといってすぐに席を立ったりすることはせず、しっかりと話を聞きましょう。
お茶を出したり御礼の言葉をかけるのは法話の後でいいのです。

準備しなくてはいけないこと

①本位牌(または法名軸)

四十九日までに仏壇と本位牌(または法名軸)が一般的になっていますがセレモニーホールで行う場合は本位牌(または法名軸)があれば大丈夫です。
白木の位牌は処分しますが、近くのお寺でお焚き上げがあるときに持参します。
または仏壇店か住職に相談して処分していただく方法もあります。

②焼香と香

七日ごとの法要は線香でいいのですが、四十九日となるとやはり焼香をしますので、香炉と香を準備された方がいいでしょう。
ない場合は仏壇店に相談して借りておくのが望ましいでしょう。

③仏壇の魂入れ(生入れともいう)

仏壇を購入されているのであれば、法要と同時に仏壇の魂入れをお願いしておきましょう。
自宅で法要を行う場合は一度に済むのでどちらにとっても都合がいいと思います。

香典返しについて

忌明けを迎えたころ香典返しを贈ります。
会葬の御礼と、忌があけたことを報告する挨拶状を添えましょう。
最近は葬儀会社の方が名簿つくりから配送までをしてくれるようになっていますのでお願いするとスムーズに行えます。

年忌法要について

年忌法要とは故人の祥月命日(しょうつきめいにち)に行う法要です。
宗教や地域で異なることもありますので宗派が分かっている方は確認をしましょう。
一般的には、一周忌からはじまり弔い上げとされる五十回忌までのあいだの主要な年度、没後3と7のつく年に執り行われます。
最近では五十回忌までされる方はほとんどいません。
三十三回忌で弔いあげとして、その後はお盆やお彼岸などに先祖供養としてまとめて行います。

  • 一周忌(いっしゅうき) 没年の翌年
  • 三回忌(さんかいき) 没年の翌々年
  • 七回忌(ななかいき) 没年の6年後
  • 十三回忌(じゅうさんかいき) 没年の12年後 
  • 十七回忌(じゅうななかいき) 没年の16年後 
  • 二十三回忌(にじゅうさんかいき) 没年の22年後 
  • 二十五回忌(にじゅうごかいき) 没年の24年後 
  • 二十七回忌(にじゅうななかいき) 没年の26年後
  • 三十三回忌(さんじゅうさんかいき) 没年の32年後 
  • 三十七回忌(さんじゅうななかいき) 没年の36年後 
  • 五十回忌(ごじゅっかいき) 没年の49年後 

百箇日

四十九日から二か月半余り後に、この百箇日という法要があります。
卒哭忌(そっこくき)と呼ばれ、この日をもって泣くことをやめるという意味です。
この日は近親者と住職のみで通常の七日参りのように仏前にて行います。
一周忌をめどに納骨をされるかたは、墓地の準備、または納骨堂への手続きなどそろそろされた方がよいでしょう。

一周忌・三回忌

家族は法要の準備にも慣れてきて落ち着いて執り行うことができるでしょう。
親族を招いてしっかりと行うのも、この三回忌までの方が多いですね。
服装も三回忌までは礼服(喪服)を着ます。
※納骨はこの一周忌をめどに行う
宗派によっては分骨されている場合もあり、分けて納骨をする場合もあります。
例えば、一つは一周忌の時に墓地を建て納骨をし、二つ目は三回忌の時に本山で納骨と供養をしていただくというような場合もあるので、親族で納骨の方法を相談しましょう。

三十三回忌・五十回忌

最終年忌つまり弔い上げのことです。
これも宗派によって色々な言われがありますので住職に尋ねるのがいいでしょう。
三十三回忌にするのか五十回忌にするのか・・・。
家族の形態が変化している今、50回忌で弔い上げができたらその家族・子孫はとてもすばらしいと思います。
しかし現実的にそれができなくなってきているのも事実。
自分が生きているうちに弔い上げを済ませたいという気持ちわかりますよね。

まとめ

お葬式後の法要(法事)の流れと意味いかがでしたか?
色々な手続きも同時に起こってきますから、慌ただしく過ごすうちに忌明けを迎えたという話もよく聞きます。
でもふと気が抜けたとき、悲しみが込みあげてきます。
法要の期間とはそんなことを繰り返しながら、故人との絆を再構築する大切な時間なのです。
姿かたちはないけれど、毎日遺影に向き合ったり法話をきいたり読経を聞いたりして新しいつながり方を見つけて過ごしていきましょう。