坊守が教えるお葬式や法要に関わるお布施と心づけ
お葬式の一連の儀式を終えるとお布施を僧侶に渡しますが、この相場をどのくらいにするのか難しく誰もが思い悩みます。
その理由はお寺とのかかわりが普段から出来ているかいないかで、それぞれお布施の金額に対する価値が違うからです。
お気持ちで・・・と言われると困ります。と私たちもよく言われますが、お気持ちでと言われたなら今できる範囲でいいのです。
お布施の価値はどう決める
正直な話「お気持ちの値段」はどう導きだせばいいのかわからないという方ばかりだと思います。
私はシンプルに感じた気持ちのままをお布施という形で表せばいいと思います。
お葬式を通して感じたことが大切なのです。
大切な方の人生最後の儀式を行って何を感じましたか?
故人から与えられていたことに改めて気づかされることがありますね。
愛情だったり、偉大さだったり、知恵だったり本当に感謝の気持ちでいっぱいになります。
香を焚いて手を合わせたとき何を思いましたか?
もう苦しまなくていいよ、これからは安らかになるよという言葉が自然にでてきてしまいます。
これは慈悲という気持ちで仏教の中でも大切な言葉なのです。
私たちは普段慈悲について意識しないで過ごしていますが、ちゃんと私たちの心の中にあるのです。
故人との今生の別れは何を教えてくれましたか?
私たちを見守っていてね、恥ずかしくないように生きていくという約束を心の中で誓いませんでしたか?
とても悲しくて辛いのに、このような気持ちになるのは儀式をとおして今生の別れを行い故人からの思いをちゃんと受け止めたからです。
いかがですか?
故人の縁で仏教にふれて自分自身を見つめていくきっかけをいただいたのです。
私も、故人も、僧侶もおたがい支え与えあっている存在だと気づきますよね。
お気持ちの値段は決められないですが、仏教に触れて何かに気づいたということが価値だと私は思います。
※補足
僧侶の身に着けている袈裟・衣は実は慈悲をあらわしています。
僧侶はそれを身にまとい故人の人生最後の儀式を行う大切な役目をいただいています。
お布施は考慮して決める
故人と地域との関係・故人とお寺との関係・故人を取り巻く環境・喪家の経済事情・などを含めて親族で決めましょう。
故人と残された家族を見つめなおすとても大切な作業なのです。
お布施のまとめ方
一般的なまとめ方と金額の目安を紹介します。
お布施の渡し方や表書きの書き方など宗派によって違うこともあります。
既定のあるものや任意のものがありますので、枕経の儀式のあと僧侶と確認をしましょう。
御車代で一封
仮通夜から初七日までの法要の為に、式場や自宅に僧侶に来ていただく場合に準備します。
すべて送迎される場合は必要ありません。
目安としては5000~1万円程度です。
御膳料で一封
通夜のあとの通夜ぶるまい、本葬あとの食事を僧侶が辞退したときは準備をしましょう。
御膳を持ち帰っていただくときは必要ありません。
目安としては5000~1万円でしょう。
※御車代や御膳料は通夜がおわり帰宅されるまえに渡します。
戒名料で一封 ※金額指定の場合
これは宗派や寺院によってはっきりと金額が決まっていることがあります。
その場合は戒名料(法名料)としてお布施とは分ける方がいいと思います。
決まっていない場合はお布施としてまとめましょう。
御礼(お布施)で一封
お葬式で僧侶に読経をいただくのは6回です。
枕経・通夜読経・本葬読経・火葬読経・還骨法要(還骨勤行)・初七日
それと一緒に戒名料を含めて御礼(お布施)としてまとめます。
読経のみ目安は15万・20万~と考える方が多いと思います。
こののなかに戒名料が含まれると、まとまった金額になります。
永代供養料で一封
御法礼・戒名料などをお寺に持参したときに、永代供養料についての話を聞くといいでしょう。
永代供養の意味は寺院や宗派で違いいますので、今後つきあっていくお寺の永代供養の内容とはどんな意味かを理解した後の決断でも遅くはありません。
- 墓地を建てないでお寺に納骨し永代に渡って供養してもらえるのか?
- なかなか墓地を管理できないので管理と供養をお願いできるか?
- 弔い上げまで家族のかわりにどのような供養をしてもらえるのか?
- お寺の御軸に戒名・法名を書いていただいて毎年供養してもらえるか?
例)「今回お世話になったお寺はお葬式のみの場合」
永代経は必要ないでしょう。
お墓・法事をお世話になるところで永代供養の話を相談されるといいでしょう。
例)「今後法事も含めてお寺と関わりを持つ場合」
永代供養をお寺でお願いするときは少しまとまった金額を準備します。
金額の目安ですが、お寺に過去の方の納めた金額が張り出されていたりしますので本堂にお参りをしたときに見ておくと参考になります。
お布施の包み方マナー
うっかり過ごしていると準備する段階になって慌てるのが包みかたです。
正しい表書きは何?封筒の種類は?お金の包み方は?渡し方は?
関東・関西でも風習が違っていたりしますが、要所を押さえていれば大丈夫でしょう。
封筒の種類と意味
本来の形は奉書紙(ほうしょし)や半紙・白い封筒に包み、水引もかけません。
私のお寺では白い封筒の形でもって来られる方が多いです。
しかし最近は不祝儀袋として市販されていて、水引もかかって売っています。
地域での習慣もありますから、周りの方に相談して選択しましょう。
水引は中身の清らかさを表現するものですし、形が結びきりになっていれば問題なく使用できるでしょう。
表書きの書きかた
先にもふれましたが、まとめて紹介します。
薄墨を使う方もいらっしゃいますが、黒墨で書いても失礼ではありません。
- 御車代(おくるまだい)
- 御膳料(ごぜんりょう)
- 御礼・お布施(おれい・おふせ)
- 戒名料・法名料(かいみょうりょう・ほうみょう料)
- 永代供養料(えいたいくようりょう)
その下に○○家、もしくは喪主のお名前を書きます。
裏面に金額を書き入れますが、漢数字を使うことが丁寧な印象を与えます。
例)
- 五千円→伍阡円
- 一万円→壱萬円
- 三万円→参萬円
- 五万円→伍萬円
- 十万円→壱拾萬円
- 二十万円→弐拾萬円
- 三十万円→参拾萬円
など。
円につては円でも圓でもどちらでも大丈夫です。
最近は現代書きされるかたが多くいますし、間違いではありません。
お布施の渡しかた
お布施は直接手渡しするのではなく、黒い切手本に乗せて渡すのが作法です。
葬儀会社が用意してくれる場合もあるので相談してみましょう。
切手盆は慶弔時に使えますので整えるべき品として一つは家に準備しておくと、
丁寧な対応ができます。
お盆がない場合は袱紗を使いましょう。
袱紗(慶事・弔事がある)を使いこなすのも大人のたしなみですから、このような機会に身に着けておくといいでしょう。
※袱紗の包み方
- 弔事の包み方は袱紗をひし形に広げます。
- 中央よりやや右に表をむけてお布施をおきます。
- 右からたたみ下→上→左の順に包みます。
- 完了
今後法要で必要になるお布施
これも大体の目安として知られていると思いますが、地域の方に確認されてから準備しましょう。
- 月命日:3000円~5000円程度
- 祥月命日:5000円~1万円程度
- 四十九日法要:3万円~5万円程度
- 一周忌法要:3万か~5万円程度
- 三回忌法要:3万~5万程度
- 初盆:5000円~1万円程度 *親戚一同で大きく行う場合は法要並
法要の内容についてはまた次の機会に説明しますが、金額も規模に見合ったもので準備をします。
お墓関係の費用についてはお寺や墓地管理会によって違ってくるものですので納得のいく範囲できめましょう。
心づけ
心づけという風習は都心であれば、まずなくなっているでしょう。
この習慣は薄れてきていますが、地方ですとまだ残っている所もあります。
葬儀会社の担当者と有無の確認をするほうが的確です。
また直接尋ねてお断りがあれば、その時点で速やかに下げ御礼の言葉をかけておきましょう。
あくまで気持ちのものですから、必要ないと判断されれば渡さなくてもいいのです。
一応準備をしていくと丁寧ですが、渡さなくて済むことが多いです。
例)
- 霊柩車の搬送担当者
- 火葬担当者
- 地域の受付の方(地域の取り決めがあれば従う)
周りの方への挨拶
お葬式にあたり家族側のサポートをしてくれた方へは御礼も兼ねて挨拶まわりをすることが一般的です。
お葬式を自治会などの小規模地域の方にお世話になったとき
世話役と葬儀委員長というお役目を担当してくれた方へ御礼をしますが、地域の規約があればそれに従います。
特になければ菓子折りなど相手が困らない程度のものを準備して御礼の挨拶に行くのが礼儀です。
勤務先の方がお手伝いしてくださったとき
勤務先へ行き無事葬儀が済んだ報告に行くと丁寧です。
この場合、菓子折りを準備し御礼の気持ちを伝えましょう。
故人の私物が残っている場合はその時に一緒に引き取ってきます。
会社へ行けないときは、菓子折りとともに御礼状を添え送り、葬儀が済んだことを伝えましょう。
まとめ
お葬式や法要に関わるお布施と心づけについての内容はいかがでしたか?
どんどん簡略化されていることもありますが、ここではすこし古風なかんじでまとめてみました。
葬儀会社がしっかり決めていることもありますので、もっと低い金額で設定される場合もあるでしょう。
アドバイスをするなら、お布施とはベールがかかったようなところもありますから、御礼を支払う時にはその内容がどこまでのものなのか、きちんと把握することは大切です。
また気持ちの値段を考えながら、今後のお寺との関係も含めてお世話になる部分をある程度決めておきましょう。
失礼のないようにできるかぎり振る舞いたいと喪主は思いがちですが、経済的なこと・立場や地域との調和も含めた金額でいいのです。
お布施とういのはあくまで、私の感謝の気持ちを本尊へ施してお供えることです。