坊守が教えるお葬式のこと

住職の妻である坊守がお葬式の知っておきたいことを紹介するブログです。

坊守が教えるお葬式の紹介とお葬式の意味

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最近のお葬式事情が変わり始めています。

従来の宗教的儀礼で行われる一般葬に対して、規模の小さい家族葬や直葬といった新しい葬儀に接することが多くなってきました。
お葬式に参列した後に聞こえてくるのがご自身の家族のお葬式の時はどうしようかしら・・・という話題。
少し前なら世間体や親族との関わりもあり一般葬以外の選択はありませんでした。
けれど近年のお葬式事情を見ていると自分らしいお葬式のあり方を行うことも受け入れられるようになってきています。
これからどんな選択をしていくのが自分らしく、また残された家族の為になるのか?これからのお葬式のあり方の課題です。

世間の本音はここ

訃報の連絡を受けたら今までの慣習通り参列はするけれど、自分の時はわざわざ足を運んでもらうようなことをしてもらわなくてもいい。
つまりお葬式があると、煩わしさを感じてしまうのが本音なのでしょう。
これは薄情でもなんでもなく、核家族中心の生活で近所とも深い関わりを持たなくなっている今の時代の傾向ですね。
①お葬式はシンプルに
②残された家族に負担をかけたくない
③お寺との付き合いが面倒
④親戚や近所の付合いが薄い
⑤お墓はいらない
⑥お金をかけたくない
家族だけで故人との最後の時間をゆっくり過ごす、また悔いのないお別れをすることがお葬式の本当の意味だと考える人が多くなっています。

新しいお葬式について

新しいお葬式といっても形式は仏式でコンパクトに行うものと、全く宗教色がなく音楽やビデオなどを取り入れて自由に行うものに分かれます。
一見、シンプルで簡単にお葬式ができそうなイメージですがその中身をきちんと理解して把握しておかないと逆に手間がかかることになります。
いいずれも葬儀会社なくてはできないものですので、どのようなお葬式が自分と家族のスタイルに合っているのか調べておきましょう。

家族葬について

家族葬は、なるべくご近所の手を煩わせたくない身内と親しい知人だけで静かに送りたいという残された家族の意向に合わせたお葬式といえるでしょう。
最近は、一番抵抗なく行える「小さなお葬式」として定着しつつありあす。
式の流れは一般葬と同じですが、ごく限られた参列者で行うため堅苦しさは和らぎますし、喪主の立場からするとお葬式の段取りをしながら故人ともゆっくりと向き合える時間がふえます。

デメリット

お葬式には参列できなかった方が後日弔問にみえることがあります。
いつ来るがわからない後日弔問・・・その対応のためにお葬式後のほうが大変だったという事になりかねません。
また、お返しをしていると結局費用がかかってしまったという事態になります。

アドバイス

ご近所に訃報の連絡をした際に家族のみでお葬式を執り行う事、故人の遺志により香典等を辞退させていただく事をひと言申し入れておくことが良いでしょう。
香典辞退の意思を伝えても、やはりどこからか知人が香典を持って弔問にみえたりします。
その時は快く受け取り、香典返しはその場ですぐ返せるようにしておきましょう。
これらの対応ができる人を決めておくと良いと思います。

一日葬につて

一日葬とは通夜をなくしたお葬式のことです。
昔の通夜というのは近親者でひっそりと行うものだったようですが、現在は、通夜への弔問のほうがしやすいという理由もありお葬式よりもこちらへ参列される方が多いですね。
そうしますと、通夜もお葬式も結局おなじような儀式を二度執り行っている印象を持ち一日葬でもいいのでは?というように考えるようになっていきます。
また、友引や連休などにお葬式の日取りが重なってしまう場合などお手伝いの方に負担をかけてしまうのは申し訳ないということで、一日葬という形を選択される方もいます。

デメリット

①参列する側にとっては弔問しづらくなることです。
②親族や周囲から一日葬が理解されない場合は風当たりがつよくなるでしょう。
③通夜と葬儀では宗教的には儀式が違いますから、宗派の僧侶との話し合いが必要な場合もでてきます。

アドバイス

一日葬を通常の一般葬と同じ規模で行うとなると、葬儀会社との打ち合わせから段取りまでが過密になり落ち度がないとも限りません。
一日葬を行う場合は親族のみといった規模のほうが行いやすいのでは・・・と思います。
またセレモニーホールでは二日間利用という契約が多いので一日でも可能な場所をリサーチしておく必要があります。

直葬について

感染症でなくなられたり家族の事情があったりした場合に選択されることが多かった形ですが、最近のお葬式への考え方を聞いていますと近親者のみに見届けてもらえばいいからと直葬を望む方もいます。
直葬とは火葬のみで行うお葬式の形ですが、一度は自宅または葬儀会社へ運んで安置して火葬場へ運びます。
搬送などは家族だけではできないので、葬儀会社には入ってもらう必要はあります。
費用はぐっと抑えられ且つシンプルですし、弔問客などに対応することも一切なく済ませられます。
読経を望まれる場合は葬儀会社から僧侶をお願いしていただきましょう。

デメリット

①形ある故人とのお別れの時間が短い
②火葬場までの安置場所を確保しなくてはいけない

アドバイス

ごく限られた近親者のみで行うことになると思いますが、故人が生前に希望していた形だといえども短い時間で火葬されるので気持ちの整理をつけ方が大事です。
見届ける者には覚悟がいると思います。
生前から直葬についてちゃんと話をして心を決めておきましょう。
きっと形ある故人とのお別れはあっという間に過ぎてしまいます。
重要なのは、火葬までを丁寧に行っていただける葬儀会社を選ぶことですね。

生前葬について

お別れの儀式を敢えて自分が生きているうちにプロデュースし行う。
生きている人を前にお別れの会をするのは賛否両論ありますが、終活の一環として自分の手で人生を締めくくるという前向きな考えでもあるといえます。
自分で行いますから残された家族の負担は少なくなりますし、企画に携われるので納得のいくお別れができます。

デメリット

①周りの人たちからの理解されないことがある
②企画に手間がかかる

アドバイス

本人と参列者が同じ気持ちで生前葬を行うことができ、その後自分の気持ちに整理がつけば上手く幕が下ろせたといえるでしょう。
そのために、案内をするときには細部まで気を使って作りましょう。
生前葬を行う意義を明確にすることと参列者へ細かい気配りをしましょう。
例えば香典の有無、服装のお願い、本当に亡くなった時の対応などはきちんと書き示すことが必要でしょう。

自由葬について

宗教を全く入れないで故人を送りだす葬儀。
形式的には式典のような雰囲気のものから会食のような集いの場にちかいものまで企画次第ではどんな雰囲気にでもなります。
こちらも亡くなってから企画をしていたのでは遅いですから、送り出す側はある程度の準備をしておかなくてはいけません。

デメリット

①宗教儀式がないのでそれに代わるようなプログラムを企画・実行しなくてはいけない
②あっさりとした会で終わってしまう。
②新しいスタイルで馴染みがないので周囲の理解を得られずトラブルになりやすい。
③無宗教でのお葬式の為、今後に続く慣習がなく戸惑う。

アドバイス

葬儀プランナーのいるような実績のある葬儀会社を調べておきましょう。
無宗教ですと法事などのしきたりもなく気楽ではありますが、区切りをどのようにつけていくか、故人とどのように向き合っていくか・・・という点で戸惑うことがでてきます。
これでよかったと思えるよう家族ともしっかり話し合っておくことが大切かとおもいます。

樹木葬・自然葬・宇宙葬・手元供養とは

これはお葬式のかたちではなく、最近注目をされている遺骨の埋葬方法です。
どの形態もお墓を持たないという点で共通しています。
心のよりどころを自然にしておくといつでも触れていられる感じもしますね。
手元供養については遺骨を身近なところに置いておくことで、いつも近くにいるという気持ちの安定を重視したものなのでしょう。

お葬式の意味

いつの時代でもどんな国でも人は人の死を受け入れるために祭儀をしています。
ヨーロッパ・アジア・島々その伝わり方で方法や手段は変化していき、宗派にわかれてその思想もそれぞれ独自の考えが成立しています。
そうやって長い歴史・文化・風習を経て世界中にお葬式という儀式ができているということは、つまり人にとって死に直面した時には必要な儀式なのです。
時代によってその形は変わっていくものの、私たちは儀式を通して心の整理をして前に進むというプロセスを歩んでいかないと、大切な人の死を受け入れていけないのでしょうね。

まとめ

いかがでしたか?
今の家族の形態や地域とのつながりを考えていくと、もう以前のように一般葬を行い次世代にわたって故人を弔い上げるというスタイルは難しくなってきています。
代々家を継いでいく方はお葬式のかたちを変えることはあまりないでしょうが、地元を離れて独立した世帯で暮らしている方はどんどん小さなお葬式になっていくと思います。
今は周りに理解されにくい環境もあるかもしれません。
しかしお葬式の規模や参列者の数が故人を慰めるのではないのですから、どんな家族でも不自由を感じずに故人らしいお葬式が行えるように、選択したスタイルで執り行えることが理想ですね。
お葬式という儀式はその方法が変わっても、故人を偲ぶという行為がなくなることはありません。
大切な人の最後の儀式をその人らしく送ることができるよう元気なうちに家族内で考えておくことが大切です。
そして見送ったあとも故人との絆が感じられるような供養のスタイルにたどりつけると、いいでしょう。
新しいかたちのお葬式は、あたらしい形のお墓・供養・法事といったことへ波及しています。
沢山の情報をあつめて理想のお葬式を探してみてください。