坊守が教えるお葬式のこと

住職の妻である坊守がお葬式の知っておきたいことを紹介するブログです。

坊守が教えるお葬式参列者の服装・髪型・アクセサリーのマナー

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みなさんは突然の訃報が届いてもさっと身支度を整えることができますか?
間に合わせで準備してしまった服装などで恥ずかしい思いをすることがないよう、大人なら日頃から弔事用の一式を整えておきましょう。

弔事用リスト

①黒色の略礼服(喪服)
②お念珠
③黒い鞄・黒の靴・黒または白のハンカチ
⑤香典袋・筆べん・袱紗
⑥黒い傘(または地味なもの)
⑦黒い髪留めなどの小物・一連パールのネックレス
⑧新しい白または黒いエプロン(女性:急なお手伝いとたのまれた場合に必要)

男性の服装と身だしなみ

略礼装を礼服ともいいますが、30代40代の男性の方なら必ずきちんとしたものを揃えておくべきです。
お葬式に着る男性の礼服は一般的に形もほぼ決まっています。
お店の方と相談して購入された場合は間違いなく大丈夫でしょう。
ジャケットはノーベントで、ボタンはシングルでもダブルでも構いませんが年相応の形にしましょう。
シングルですと若い印象、ダブルですと落着きある印象になりますね。
ズボンは折り返しのないシングルタイプものが好ましいといわれています。
ワイシャツもダブルの袖口ではなくシングルのものにします。

通夜へ急いでかけつけた場合

仕事帰りにはブラックスーツ・ダークスーツでもかまいませんが、無地の黒いネクタイ・黒い靴下に変えて参列します。
ワイシャツもできれば白いものに着替えた方がいいでしょう。

持ち物について意識すること

忘れてはいけないものと気を配るポイントを紹介します。

念珠

仏式の場合はお念珠を絶対に忘れないようにします。
参列されるときは、ご自身の宗派のお念珠を持参していいのですが、配慮したいと思う場合は略式念珠という形のものを一つ準備して使い分けましょう。
どの宗派でも使える形態になっています。

アドバイス

手首に時々念珠タイプのブレスレットをしているかたがみえますが、ご承知とは思いますが念珠の代わりはできません。

香典と袱紗

持参の途中に汚したり折り曲げたりしないよう、丁寧に扱います。
特に男性は胸の内ポケットに入れて持ち歩きますから、移動時間の長い場合や上着を脱いだりしたときに気にかけていましょう。
袱紗についてですが、最近は台付袱紗や金封用の差し込み型のような使いやすものもあります。
台付の場合は慶弔に使えるよう表と裏の色がちがいますので、絶対に間違えないよう確認をしましょう。

ハンカチ

使うかどうかはわからないからこそ、無頓着ではいけない小物です。
お葬式に持って行くハンカチは地味な配色のもので、清潔なものにしましょう。
無意識に使うものですが、使用した際に意外と目立ちます。

身だしなみについて意識すること

お葬式の雰囲気の中で故人を偲ぶのに華美なものは必要ありませんので、当然シンプルでおちついた様子の佇まいでいることが必然になります。

髪型

男性でも髪が長い場合は、しっかり結ぶもしくは止めましょう。
お辞儀をしたときに髪が顔にかかるのは清潔感にかけていますし、誠意にかけているとみられます。

最近はお洒落に髭を伸ばしている方もいらっしゃいますが、その様子が無精にみえてしまう可能性がある場合は残念ですがきれいにしていくのがマナーです。
整っているものであれば大丈夫です。

黒い靴を履いていきますがデザインがシンプルな紐靴などがのぞましいでしょう。
光沢感があってはいけませんが革靴でも構いません。

襟元

とくに暑い季節は大変ですが、お葬式の会場に入る前には襟元を正しましょう。
第一ボタンを外していたり、ゆるんでいるネクタイはとてもだらしなく見えます。

腕時計・結婚指輪・携帯電話

結婚指輪は認められていましたが、最近は腕時計をしていても大丈夫です。
時間を確認するために必要ですのでシンプルなものであればそのまま身に着けていてもかまいませんが、大きく目立つものは外しましょう。
また携帯電話は車に置いておくか、確実に電源を落として触らないようにします。
会場内で携帯を触る姿は良識ある行動には思えません。
最低限のマナーとして気をつけましょう。

女性の服装と身だしなみ

男性は、正装 → 略礼装 → ブラックスーツ → ダークカラースーツ
女性は、正装 → 準礼装(セミフォーマル) → 略礼装 → ダークカラースーツ
まずこのようなバランスを覚えておきます。

準礼装とは

準礼装は「セミフォーマル」と呼ばれています。
正礼装洋装に比べると、ちょっとしたデザインが許されており遺族も着ることのおおい礼装です。
参列者の場合でも故人とのつながりが深いものであれば準礼装を着て、告別式に参加しましょう。

略礼装

略礼装のブラックスーツ、またはワンピース・アンサンブルといったものは、冠婚葬祭に使えるオールラウンダーといえるでしょう。
通夜・告別式に一般参列者として弔問するのならこちらでかまいませんが、常識の範囲内で選びましょう。
略礼装になると黒色の質感も変わってきますので、素材・質感や光沢・レースなどのデザインに気を付けて目立つ服は控えることが望ましいでしょう。
また「葬」だけでなく「婚」にも着られるようになっていますので、どうしても首回りの開きかたが広いものが多いと思います。
鎖骨のラインよりも開きが下にきてしまうものは、ジャケットを必ず着て行きます。
ジャケットのない場合はお葬式での着用は不向きと考えましょう。

アクセサリーについて

アクセサリーの考え方について色々ありますが、私は基本つけていく必要はないと考えています。
正装や準礼装はそれだけで礼儀を尽くす服装として完成されているからです。
逆に略正装でシンプルなブラックスーツを着る場合にはパールなどをつけることによって服装の格を上げることができ丁寧な印象になるでしょう。
どちらにしても、身につけていくのなら白パール(涙を連想する)を一連みにつけるか、一粒のイヤリングかのどちらかを選びます。
40代くらいになると黒のパール・ブラックオニキスをされている方が多いですね。
いずれも光沢感や色に気をつけてあくまで清楚に映るものにしましょう。

アドバイス

デザインのある略礼装にパールのネックレスを付けた場合、品格をおとすリスクもありますので、さじ加減に気をつけましょう。

靴とストッキング

靴は黒色で光沢のないもの、安定感のある程よいヒールのあるもの、飾りのないシンプルなデザインのものを選びます。
女性の靴はバリエーションも多いので黒ならこれでいいかな・・・と安易に決めてしまうとお葬式の場所ではずかしい思いをしてしまいます。
ピンヒールや高いヒールですと歩いた音が響きやすいですし、またヒールのないものは素材や形によってはカジュアルに見えてしまう場合もあります。
※妊婦さんの場合はあくまで履きやすいものが優先です。
お葬式用として必ず専用の一足は用意された方がいいですね。
ストッキングのマナーですが、大人でしたら足元は黒のストッキングが望ましく少し肌が透けるくらいが上品にうつります。
肌色のものは学生までの若い方がいいでしょう。
冬になると寒いので透け間の全くない黒いタイツの方がいらっしゃいますが、カジュアルな印象をうけてしまいますし、手入れができていないタイツですとだらしない感じを受けます。
そのような黒タイツをはいていかれるのなら、ブラックのパンツスーツになさる方がいいと思います。

持ち物について意識すること

男性にくらべるとつい持ち物が多くなってしまいがちですが、極力コンパクトにしていきましょう。

バック

ショルダーバックではなく、小型の手提げタイプかクラッチタイプのもの。
布製か光沢のない革製で留め金が目立たないものにしましょう。
荷物が入らないからと手提げ袋と二個持ちはされる方もみえますが、極力避ける方がいいですね。
バックに入らないものはお葬式には持って行かないと心得ましょう。

念珠・香典・袱紗・ハンカチ

上記(男性向けの記事)で書いたことが女性にもそのまま当てはまります。
いくつか補足をしてみましょう。
<袱紗>
女性の場合袱紗は一枚の布タイプを使われると、所作もあわさって丁寧な印象を受けます。
中心より右に御香典を置き、右→下→上とたたみ、最後残った左側をかぶせるように包む。
開けるときは一方向ずつ広げていき香典を取り出したら向きをなおし相手に向け、一礼をし、差し出します。
<ハンカチ>
喪主のあいさつ、遺族の方のご様子・・・悲しみが伝わってくるたびに、涙がとまりませんよね。
女性は必ず持参していきますがハンカチは黒や地味な配色のもので綿にします。
タオル素材はカジュアルにみえますし、レースではハンカチの意味がありません。

身だしなみについて意識すること

髪型・メイクにつては一般常識としてお悔やみの場に適したスタイルにしましょう。

髪型

一礼をしたときに、無駄な動きがあると落着きのない印象を与えてしまうものです。頭をあげたときに、手が勝手に髪や顔に触れる動作がないように髪型はちゃんと整えて参列をしましょう。
ロングであればなるべくコンパクトにまとめます。
顔まわりに髪がかかるのは清潔感に欠けますのでピンで留めておきましょう。
パーマをかけている場合は、華やかさがでないようにボリュームダウンできるような整髪料で整えましょう。
染めている場合は色が目立たないように整えるか、目立ってしまう所は髪のカラースプレーなどで色を抑えるなどの配慮をしなくてはいけません。
髪を留める小物は黒でシンプルなものを選び服装の雰囲気の邪魔にならないようにしましょう。

メイク

目元をぬぐった時にアイメイクが崩れている・お茶などをいただいたときに御湯呑に口紅がついている・ファンデーションで喪服の首元が汚れている・・・こういった常識のない状況にならないためにはどうするか考えると、薄付きなメイクになりますよね。
「葬」であっても清楚で悲しみを思いやれる姿に美しさはありますから、しっかりメイクをする必要はありません。

まとめ

いかがでしたか?
お葬式はちょっと堅苦しく・形式にはまっている印象をもちますが、訃報に接したとき相手の気持ちを考えることができたら、どう振る舞うべきか悩まなくても自然と行動に表れるものです。
要は気遣い・心遣いがどの程度できるかということですから、○○するためには!という文言にまどわされずに毎日の生活の中でご自身の物差しの精度をあげていきましょう。