坊守が教えるお葬式のこと

住職の妻である坊守がお葬式の知っておきたいことを紹介するブログです。

坊守が教えるお葬式参列者のためのマナー・心得

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知人の訃報を聞いたらお悔やみをどのように伝えるかは故人とのお付合いの深さで変わってきますね。
最近はお葬式の様子も変わってきていますから、相手の立場や状況に応じて振る舞うことがとても大切です。
ここでは参列者からの目線で色々な場面を想定しながら考えていきます。

故人や遺族、または周囲の方に迷惑をかけないよう基本的な知識は身につけておきましょう。

 気をつけなくてはいけないマナー

通夜・葬儀・告別式に参列するときは始まりから終了するまでその場にいることが基本です。
すくなくとも10分前には到着し参列をします。

遅刻をしない

遅刻をするのは最大のマナー違反と思ってよいでしょう。
通夜・葬儀・告別式いずれに参加するときも読経の最中に到着をした場合は着席するのをやめ、列の最後につき焼香をさせてもらいましょう。
すべて終わった後に到着した場合は受付でお詫びを述べ香典のみを預けていきます。
もし許されるのであれば、祭壇へいき合掌のみをさせていただきます。
その際は帰る前に再度受付により、ひと声をかけていくことを忘れずに。

お悔やみの言葉

お悔やみの言葉をわざわざ遺族にかけにいくのは控えます。
参列したことが弔意を表したことになりますから本来はこれで十分なのです。
しかし故人や喪主と親しい関係である方は傍にいかれる方もいますね。
「まことにご愁傷様でした・・・」とひと言、頭を下げるだけで伝わるはずですから、長話になってはいけません。
時々「どうしてこんなことに」などと帰り際に遺族に聞いていらっしゃる方がいますが、亡くなられた経緯を聞くのはとても配慮に欠ける行為です。
悲しみをこらえている本人を前に追い打ちをかけるようなオーバーな感情表現や言動は絶対にしないでおきましょう。

私語は慎みましょう

お葬式の会場で知り合いに会ったからといってお互いの近況や世間話、名刺交換などをすることはマナー違反です。
とくにお悔やみの会場では場をわきまえて行動しましょう。

服装の注意点

もちろん喪服を着用していくのが基本ですが、参列する方は故人との関係もあり略式なブラックスーツやワンピースなどといった方も見受けます。
そういった場合は光沢感のないもの、レースや織のある場合は素材が華美にならないものを選びましょう。
女性の方で目立ちがちなのがヒールと服のサイズ感です。
お通夜などでよく気になるのですが焼香の時にコツコツと歩く音が響く方がいます。
高いヒールやピンヒールを履くのはお葬式の会場ではふさわしいとは思いません。
また焼香台の前で一礼をしたときに膝裏がみえていたり胸元が目立ってしまう方がいます。
ここはお悔やみの場での最低限の身だしなみとしてきをつけましょう。

持ち物

仏式のお葬式に参列するときには念珠は必ず必要です。
宗派の違いでお持ちの念珠のかたちが違う場合もありますが、他宗派への参列であってもご自分の宗派のものでかまいません。
もしも気がかりのであれば略式念珠といってどの宗派でも使える念珠がありますのでひとつ参列用として準備されておくのもいいでしょう。

その他で気を付けること

①身の回りの色に気をつけましょう

雨の日に時々見かけて残念に思うことがあります。
花柄や奇抜な色彩の傘を平気で使用する方がいらっしゃるということです。
黒い色彩に包まれている分、色の付いた傘は目立ちますし雰囲気を損ねます。
職場や家にも黒色の傘は必ず準備しておくと、せっかく駆け付けたのに肩身のせまい気持ちにはならないですみます。

②車の雰囲気に気を付けましょう

車で駆け付けた場合、大きな音のするものや色がや形が奇抜だったりする車でしたら、少し離れた場所で車をおきましょう。
ちょっとしたことですが、故人を敬う気持ちがあるなら心得るはずです。

③足元に気をつけましょう

本堂や自宅でお葬式を行なうばあい、焼香時に足が立てなくなってしまう方がいます。
原因はあしの痺れなので少し足を楽にさせてあげましょう。
また歩けないほどになっているときは焼香順を飛ばしていただき、立てそうになるまでまちます。
ここで無理に焼香へ行こうとすると動作も鈍くなり時間がかかりますし、喪主側に気を使わせる結果になりかねません。

参列する立場と振る舞い

親しい友人・知人であったり、会社関係であったり、故人とご自身の関係で遺族にどのような心遣いができるでしょうか。

連絡係の有無

訃報の一報を受けた場合、ほかの方への連絡が必要かどうか聞きましょう。
場合によっては通知しなくてもよい場合があるので、たずねてみてお願いをされたら連絡をする範囲を確認して力になってあげましょう。

お手伝いの有無

連絡を受けた時または仮通夜に伺った時にお手伝いの意思があることを伝えてみましょう。
通夜までの準備は慌ただしく小さなお子さんがいたり、来客が多かったりしますと喪主側も落ち着いて段取りができません。
例えば親しくお付合いをされていたなら子供の面倒・お茶などの振る舞いなど、できそうなお手伝いを申し出て「いつでも声をかけてくださいね」という意思を伝えましょう。
助けてくれる人がいると思うだけでも喪主側は安心できます。

会社関係者の方の参列①

会社の関係者として参列された場合、会社からの香典とともに参列された方の名刺が添えてあると喪主側はとても助かります。
これは私が経験してとても丁寧な印象を受けました。
名刺を頂くとお会いした時にきちんと挨拶をすることができます。
また、ビジネスマナーとして名刺の右上に(弔)と書かれてあるととても丁寧な印象をうけます。
※代理の場合は来るはずだった方の名刺には(弔)ご自分の名刺には(代)と書き二枚添えておく。
記帳は会社名と上司名を書いておきましょう。

会社関係者の方の参列②

個人的なお付合いのあった場合は通夜に弔問しましょう。
会社の中でも親しくしてお付合いさせていただいていた人だとわかります。
会社として参列される場合は告別式が良いでしょう。
仕事関係は規約もあると思いますからビジネスマナーにのって振る舞いましょう。

親しい知人友人の参列

仮通夜に駆け付けたときにお悔やみの言葉を伝えます。
香典は通夜の席に持参し、葬儀・告別式の時には記帳だけ済ませます。
葬儀・告別式が昼間で仕事の都合で出席できないときは、通夜の席で遺族にお詫びの伝言をお願いしましょう。
伽見舞いとしてちょっとした菓子箱などを用意されるといいでしょう。

知人程度のお付合いの場合

先方の都合で密葬をされる場合を除いては、訃報を聞いて知らないふりをすることはできませんね。
香典を持参して通夜に参加されることで弔意は伝わります。
その場合連名で友人と参列するのか、個々に参列するのかされるか周りの方と相談されるといいでしょう。

参列できない場合

訃報の知らせを聞いても参列ができない場合は斎場に宛てて弔電をおくるのも相手にお悔やみの気持ちを伝える手段です。
また改めて弔問に伺えるのであるならば、なるべく早いうちに行きその時に香典を持参しましょう。

訃報を葬儀後に知った場合

四十九日までであれば、香典と御供えを持参しご自宅へ伺いましょう。
伺うまえには連絡を入れておくのがマナーです。
遺族の方も連日の来客などで疲れていることを察して、長居することのないように心がけましょう。
また密葬をされた方ですと事情もありますので、親しい関係であるならばお手紙などで弔意を伝える方法がよいでしょう。

同級生やサークルの仲間で弔意を示す場合

人数が多い場合は団体・グループ名で記名します。
供花か香典かはどちらでもいいと思いますが、最近はお葬式の規模が小さくなってきているので香典が望ましいでしょう。
地元のお花屋さんで供花をお願いする場合、ちゃんと会場において頂けるか確認をとりましょう。

弔辞をお願いされたら

弔辞とは故人に捧げる最後の言葉です。
もしも遺族から弔事を頼まれた場合はお受けするのが常識です。
弔辞を読むポイントを掴んで素敵な言葉で見送ってあげましょう。

弔辞を書くポイント

弔辞は3分程度で終わらせる長さを目安に考えましょう。
また、下書きをしてから丁寧に清書をします。

  1.  故人への哀悼の意
  2. 故人と私の関係
  3. 故人の功績や人柄について
  4. 故人から教えていただいとこと
  5. 残された者の決意
  6. 遺族への慰めと励ましの言葉

弔辞を確認していただくときに、遺族からの希望・聞き伝えてほしいことがあればその話を盛り込むようにしましょう。

注意点

忌み言葉を避けるようにしましょう。

  • 「重ねがさね・・・」
  • 「度々」

など失礼な話をして、故人の名誉を傷つけたりしないこと、また弔辞は読み終えた後、遺族に渡します

弔辞の読み方

司会の方から指名をされたら、祭壇近くまで進み遺族と故人それぞれ頭を下げます。
弔辞は目の高さで持って丁寧に読み、最後は包みを元に戻して祭壇に掲げますます。
この時包み方に手間取らないように、包み方を事前に理解しておくことが必要です。
また最近では、もう少し簡略した「お別れの言葉」を読み上げる場合もあります。
簡単だからといって内容が軽くならないように、きちんと言葉を選びましょう。

最近のお葬式事情より

家族葬が多くなっていた昨今、香典を辞退されるところがあります。
連絡を受けた時に香典を辞退するという意思を示されたら、持参はしませんが香典に代わるものとして、お線香のような相手に負担がかからないものを用意しましょう。
また御供えについての香典返しも辞退する意思を伝えておきます。
表書きですが、「御供」としておけば間違いはないでしょう。

まとめ

いかがでしたか?
最近はお葬式に出席する回数も減り、なかなか場慣れするほど経験できませんが参列者だからといって曖昧な振る舞いをしてしまうと、逆に目立ってしまいます。
それぞれの状況を考えて対応しなければならないこともあるからこそ、是非参列者としてのマナーは身に着けておきましょう。